鈴木 浩
ウェブサイト児童画展『ありがとうの絵』にようこそ!
ここに展示した子どもたちの絵は、今から43年前、1969年から1970年にかけて、私が日本全国の小学校を自転車で訪問して、いただいてきた作品です。子どもたちの絵には、大人の常識にとらわれない自由な表現と面白さが溢れています。こうした子どもたちの描いた絵を通して日本の生活を見直す児童画展を開催したい。これが当時24歳の私の「夢」でした。
「児童画展のために子どもたちの描いた絵をくださいませんか」そんなお願い書をもって、全国の教育委員会や小学校を訪ねました。個人的な試みには協力できないと断られることもありましたが、一方で、何の肩書きもない青年の個人的な「夢」に耳を傾け、趣旨に賛同して児童画を提供してくださった方々がいらっしゃいました。こうした方々のおかげで、約125校から500枚を超える絵を集めることができ、1970年11月念願の児童画展を開催することができました。
その後、就職、結婚…43年が過ぎましたが、いただいた児童画は今も私の「宝物」です。子どもの絵を見る楽しさ、それは子どもの心にふれる楽しさです。子どもたちが描いた当時の生活の様子や働く大人たちの姿から、それらを見つめる子どもたちの真剣な眼差しが感じられます絵の中にはSL、炭鉱など今はもう見ることができない光景もあります。東日本大震災で被災した小学校の児童が描いた絵もあります。絵を描いた子どもたちは今40代から50代になっているはずです。もし子どもの頃描いた絵と再会したら、どんなことを思うでしょうか。絵の中の懐かしい家族や友だち。今はない風景や労働の姿。あの頃と今、子どもたちを取り囲む状況はどう変わったのでしょうか。いつの時代でも、自由にのびのびと自分を表現できる子どもは幸せと言えます。その幸せな体験はきっと子どもたちの生きる力になると思います。
43年前、児童画展を開催できたのは、たくさんの方々のお力添えのおかげです。今なら、自由に小学校を訪問して絵をいただくことは不可能でしょう。児童画展開催という私の個人的な「夢」にご賛同くださった教育委員会や小学校の先生方、絵を描いてくれた子どもたち、旅先で出会い親切にしてくださった方々、そして協力してくれた友人たち。皆様の温かいお心にもう一度「ありがとうございました」と申し上げます。43年前の児童画を今また見直すことで、子供たちの幸せについて考えるきっかけになれば、こんなに嬉しいことはありません。
もし自分が描いた絵を見つけたらご連絡ください。子供の頃に描いた絵と対面をしての御感想をお聞かせください。